フランチャイズ契約

フランチャイズ契約の中途解約条項と違約金

フランチャイズ、中途解約、違約金

この記事ではフランチャイズ契約の中途解約条項と違約金についてフランチャイザー向けに弁護士が解説をしています。

FC契約の中途解約条項と違約金の定め

経営方針の変更や経営不振などの理由からフランチャイジー側の都合でフランチャイズ契約の中途解約の申入れをされることがあります。

その際しばしば問題になるのは違約金です。

多くのフランチャイズ加盟契約書では、中途解約条項が設けられており、フランチャイジー側の都合での一定の期間内での中途解約の場合、違約金が発生するとの定めがあります。

フランチャイザー側としては、違約金を有効に請求できるか、保証金などから差し引くことができるかを検討することになります。

中途解約条項の例

第〇条(中途解約)

1.フランチャイジーは、〇ヶ月前に書面にて通知することにより、本契約の有効期間中であっても本契約を解約することができる。

2.第〇条に基づく更新前に前項に基づく解約をする場合、フランチャイジーは、フランチャイザーに対し、違約金として平均ロイヤルティの〇ヶ月分を支払わなければならない。

違約金条項の有効性

フランチャイジー都合の中途解約の場合の違約金条項については、基本的には有効です。

ただし、違約金が不当に高額であるような場合は、違約金条項の一部または全部が公序良俗に違反するとして無効になる場合があります(民法90条)。

また、中途解約の経緯によっては、違約金を請求することが認められないこともあります。

どのような経緯がある場合に、違約金の請求が認められないのでしょうか。
ケースバイケースですが、FC契約から相当期間が経過している場合、フランチャイザーに情報提供義務違反がある場合などに請求が認められない可能性があります。

違約金の請求が認められた事例

東京地判平成26年8月29日ーサークルKサンクス事件

フランチャイジー都合の中途解約につき、中途解約条項及びそれを前提とする解約合意が公序良俗に違反しないとして、ロイヤリティの平均月額4か月分相当額である566万1079円の請求を認めた。

違約金の請求が認められなかった事例

東京高判平成7年2月27日ー日本さわやかグループ事件

加盟当時は違約金の負担がなかったこと、契約書作成時に説明がなかったこと、契約書作成時に既に多額の投資をしておりフランチャイジーが契約締結を拒否することが困難であったこと、契約書の定めが不明確であったこと、違約金に上限が定められておらず加盟継続を強制する結果になること、違約金は通常免除されていたこと等を理由に500万円の解約一時金の支払を強制することは公序良俗に反するとして、フランチャイザーの請求を認めなかった。

合意解約による対応

フランチャイジー都合の中途解約であっても、例えば経営不振などを理由とする場合、フランチャイザー側が合意解約に応じて、違約金を請求しない対応をすることがあります。

違約金の回収可能性が低いような場合やフランチャイジーの店舗を直営化したい場合などは、フランチャイザーとしても柔軟に条件を設定して合意解約をするメリットがあります。

違約金の請求が認められるために気を付けておくべきこと

いざというときに違約金の請求が認められないという結果にならないように、フランチャイザーが気を付けておくべきことについて解説します。

契約書の条項のチェック

契約書の違約金条項が無効にならないか、リーガルチェックをしておく必要があります。

中途解約の違約金条項の有効性を検討するにあたってのポイントは次のとおりです。

  • 違約金の額が大きすぎないか
  • 拘束期間が長期にわたらないか
  • 中途解約の条件が明確か

違約金の額が大きすぎないか

中途解約による違約金の目安は平均ロイヤルティの1年分程度以内です。あまりに大きい金額の違約金条項は全部または一部が無効になるおそれがあります。

競業避止義務違反や秘密保持義務違反の違約金とは性質が異なりますので、額の設定の仕方も変わってきます。

拘束期間が長期にわたらないか

多くの中途解約の違約金条項では、例えば5年等、一定期間経過後の中途解約の場合は、違約金を発生しないとするか減額して定められています。

中途解約の違約金を定める趣旨が、急な閉店によるフランチャイズチェーンの信用毀損の防止やロイヤルティ収入の確保などにあるところ、一定期間営業を継続していれば、違約金を生じさせる必要が小さくなるからです。

高額な違約金が発生する期間が長期にわたると、解約を不当に制限するものとして違約金条項が無効になるおそれがあります。

中途解約の違約金の発生条件が明確か

フランチャイジーが違約金の発生条件を理解できないような不明確な条項の場合、当該条項は無効になるおそれがあります。

情報提供をしっかり行う

事前の情報提供が不十分であると、違約金条項に基づく違約金の請求が認められないおそれがあります。

法定開示書面の交付、説明をしっかり行うことや、フランチャイズチェーンや加盟契約について虚偽や誇大な情報提供をしないよう注意する必要があります。

保証金の預託を受ける、連帯保証人を立ててもらう

フランチャイズ加盟契約締結時に、フランチャイジーから違約金債務等を担保するために、保証金の預託を受けておけば、違約金のうちの相当程度は確保できる可能性が高まります。

また、フランチャイジーに連帯保証人を立ててもらうことも重要です。民法改正により、2020年4月1日以降に締結する契約では、連帯保証人が個人の場合は、極度額を定めておかないと連帯保証契約が無効になるので注意してください。

違約金条項の運用

違約金条項の運用として、実務上厳格に違約金全額をフランチャイジーに請求しているフランチャイザーは必ずしも多くないと思います。

もっとも、フランチャイザーが原則違約金を請求しない運用を続けており、その点をフランチャイジーに認識されていたとなると、違約金の合意が認められないという方向に判断が傾くリスクがあります。

ABOUT ME
藤澤昌隆
藤澤昌隆
弁護士・中小企業診断士(リーダーズ法律事務所代表、愛知県弁護士会所属) 基本情報技術者

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)