IT、WEBサービスに関する契約書

ウェブサイト制作業務委託契約書の印紙税について解説

ウェブサイト制作業務委託契約書の印紙税について解説

この記事では、ウェブサイト制作業務委託契約書の印紙税について弁護士が解説をしています。

ウェブサイト制作業務委託契約は請負契約

ウェブサイト制作業務委託契約の民法上の契約の性質は請負契約とされています。

そのため、ウェブサイト制作業務委託契約書は印紙税法上の第2号文書「請負契約に関する契約書」に該当します。

請負契約に関する契約書に課税される印紙税は、契約書に記載された契約金額に応じて以下のとおりです。

記載された契約金額 印紙税額
1万円未満 非課税
1万円以上 100万円以下 200円
100万円を超え 200万円以下 400円
200万円を超え 300万円以下 1,000円
300万円を超え 500万円以下 2,000円
500万円を超え 1,000万円以下 1万円
1,000万円を超え 5,000万円以下 2万円
5,000万円を超え 1億円以下 6万円
1億円を超え 5億円以下 10万円
5億円を超え 10億円以下 20万円
10億円を超え 50億円以下 40万円
50億円を超えるもの 60万円
契約金額の記載なし 200円
ウェブサイト制作の委託料は数十万円~高くても300万円程度だから、印紙税は1000円程度ですみそうですね。
契約書を2通作成する場合は、2通ともにかかるので注意です。また、第7号文書継続的取引の基本となる契約書に該当しないかも注意が必要です。

ウェブサイト制作業務委託契約書が7号文書に該当する場合

請負に関する契約書でも、継続的取引の基本となる契約書は第7号文書として、4000円の印紙税が課税されます。

以下、ウェブサイト業務委託契約書が第7号文書になる場合について解説します。

取引基本契約書となる場合

ウェブサイト制作業務委託契約は、1回限りのものが多いですが、店舗ごとや商品ごとにウェブサイトを制作するなど継続的に複数の依頼がありえる場合は取引基本契約書を作成して、個別の案件ごとに個別契約を締結する場合があります。

この場合は、当該取引基本契約書は第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)に該当することになるので、印紙税は4000円が課税されます。

ウェブサイトの保守業務が付随している場合

ウェブサイトの保守業務委託契約書は、ウェブサイト制作業務委託契約書とは別個で取り交わされることが多いですが、まとめて一つの契約書で取り交わされることがあります。

保守業務委託契約書の内容のなかにも、お問い合わせ対応などの準委任契約となるものやウェブサイトの更新や修正などの請負契約となるもの様々なものがありますが、一般的には請負契約となる要素を含んだ保守契約がほとんどです。

したがって、保守業務委託契約にかかる部分は第2号文書に該当します。

また、営業者間において継続的に生じる保守について共通的に適用される仕事の内容、料金及び料金の支払方法等の基本的なことを定めるものは第7号文書にも該当します(契約期間が3か月以内かつ自動更新がない場合を除く。)。

第2号文書、第7号文書いずれにも該当する場合は、どちらとして扱うかが問題となります。

この点は課税物件表の適用に関する通則3のイが定めており、契約金額の記載の有無で判断することになり、載があるものは第2号文書、ないものは第7号文書となります。

保守業務について契約期間の定めがない場合

保守業務について契約期間の定めがない場合は、契約金額を計算することができず、当該契約書は第2号文書のうち金額の記載がない契約書となります。

したがって、この場合は第7号文書に該当することになります。

保守業務について契約期間の定めがある場合-月額料金制

月額で保守料金が決まっており、契約期間が定められている場合は契約金額が計算できるので、金額の記載がある契約書となります。自動更新条項があってもこちらでかまいません。

したがって、この場合は第2号文書に該当することになります。

保守業務について契約期間の定めがある場合-変動料金制

もっとも、契約期間の定めがあっても、保守料金が利用内容によって変動するような場合で、各業務の単価の定めがされているのみの契約書の場合は、契約金額の計算ができず金額の記載がない契約書となります。

したがって、この場合は第7号文書に該当することになります。

まとめ

以上のまとめです。

  • ウェブサイト業務委託契約書は原則として第2号文書に該当し契約金額で印紙税が決まる
  • 取引基本契約書となる場合は第7号文書となり4000円の印紙税が課税される
  • 保守業務が同一の契約書で定められている場合は、契約金額が計算可能かどうかを判断し、計算可能な場合は第2号文書、計算できない場合は第7号文書となる
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藤澤昌隆
藤澤昌隆
弁護士・中小企業診断士(リーダーズ法律事務所代表、愛知県弁護士会所属) 基本情報技術者

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