この記事では、契約書の作成や審査の業務を担当することになった方に向けて、初心者向けの契約書関連書籍を紹介しています。
数ある契約書関係の書籍の中から、とりあえずこれを買っておけばよいというものを厳選しています。
改訂3版 実践 契約書チェックマニュアル
実践契約書チェックマニュアルは30の契約書のひな形をベースに、各契約書のチェックポイントが簡潔にまとめてあります。
契約書作成の実務と書式に比べると、説明も初心者向けに優しく書かれています。すぐに活用できて、とりあえず買っとけば役に立つのはこれです。どれか1冊だけ買うならこれだと思います。
姉妹本(?)のビジネス契約書式150例は150の契約書のひな形が収録されており、Wordファイルでもダウンロード可能なので、契約書作成のたたき台として利用することも可能です。
なかなかそのまま使えるひな形というのは少ないですが、ひな形のストックを増やしておくのは契約書の勉強初期には有効です。
契約書作成の実務と書式(第2版)
契約書業務の担当者が、「契約書の本といえば?」と聞かれた際に思い浮かぶのが「契約書作成の実務と書式」ではないかと思います。
契約書実務本の定番書籍の地位を確立していると思います。ある程度じっくり勉強したいという人はこれを買っておくべきです。
本書の構成としては、各類型の契約書のひな形が掲載されており、ひな形に基づき各条項の解説が記載されています。
法律に基づく原則がきちんと記載されているので、法律の原則がどうなっていて、その原則を契約書でどのように修正していくのかを学ぶ上で有用です。
条文や裁判例もしっかり引用されています。
反面、法律自体をほとんど勉強したことがなく、法律の理解が浅い人には難しく感じるところがあるかもしれません。
秘密保持契約の実務(第2版)
契約書の法務担当初心者にもっとも割り振られやすいのが秘密保持契約書の審査、作成ではないかと思います。
企業としても最も取扱い件数が多い契約書の一つです。ある程度定型的なので、比較的勉強もしやすいです。
秘密保持契約の実務(第2版)は秘密保持契約に特化した書籍で、各条項の解説が充実しており、英文版のひな形も収録されています。
民法(全)(第2版)
契約書を作成、チェックする上で知っておくべき法律は多々ありますが、基本となるのはやはり民法です。
既に司法試験に合格していたり、ロースクールで勉強していた人はいいですが、全く民法を勉強してこなったという人も民法の勉強は避けてとおれません。
民法(全)は民法改正にも対応しており、これ1冊で入門本として簡潔にまとまっています。私も司法試験受験時代はもっとも使用した民法の基本書の1つです。
第6部の契約の部分だけでも読んでおくことをおすすめします。kindle版もあります。
令和元年11月改訂 印紙税ハンドブック
契約書の作成、レビューにおいて避けてとおれないのが印紙税の判断です。
課税文書にあたる契約書に印紙を貼らず、消印をしないと納付すべき印紙税の3倍の過怠税が徴収されることになります。
基本的には国税庁のウェブサイトが参考になりますが、各契約書の該当例を把握しておく上で、印紙税ハンドブックが参考になります。
ただし、課税文書にあたるかどうかの判断は契約書のタイトルではなく、その中身がどのような契約であるといえるかが重要になるので、タイトルのみで判断してしまわないように注意してください。結局民法の理解が重要になってきます。