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貸金業法における「業として行う」の意義

貸金業法における「業として行う」の意義

経営者、投資家、富裕層等はお金を貸すことが比較的多くあります。

その際、借用書はしっかり作りましょうというのをこのブログでも注意喚起しているところです。

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加えて、貸金業法の規制を受けないかも気を付けておかなければなりません。

というのも、貸金業法は金銭の貸付を「業として行う」場合、同法上の登録を義務付けているからです(貸金業法3条1項)。

この記事では、貸金業法の「業として行う」の意義について弁護士が解説します。

貸金業者の登録義務と無登録の罰則

貸金業法は、金銭の貸付け又は金銭の貸借の媒介を「業として行う」にあたっては、貸金業の登録を必要としています(貸金業法法3条)。

無登録で貸金業を営んだ場合の罰則は、10年以下の懲役もしくは3000万円以下の罰金またはこれらの併科となっています(貸金業法47条2号、11条1項)。

  • 貸金業を営む場合は、内閣総理大臣または都道府県知事の登録を受けなければならない。
  • 無登録の罰則は、10年以下の懲役もしくは3000万円以下の罰金またはこれらの併科

「業として行う」の意義

貸金業法2条1項の「業として行う」とは、一般に「①反復継続し、②社会通念上事業の遂行とみることができる程度のもの」をいうとされています。

ポイントは①反復継続性と②事業遂行性です。

①反復継続性

反復継続性の判断においては、判例上「反復継続の意思をもって金銭の貸付又は金銭の貸借の媒介をする行為をすれば足り、必ずしもその貸付の相手が不特定多数の者であることを必要としない」とされています(最判昭和30年7月22日)。

そのため、特定少数の者に貸付をする場合でも、反復継続の意思をもって貸付がなされたと判断される場合は「業として行う」と判断される可能性があります。

反復継続の意思があれば、1回でもダメと読めてしまいますね。

②事業遂行性

事業遂行性は、行為の主体に即して具体的に判断されるとされています。

例えば、親が子どもに生活資金を貸す行為などは事業遂行性がないと考えられます。

裁判例は、「業として行う」の判断にあたって何ら金利またはこれに準ずべき利益を取得するものでないときは当該金銭の貸付行為を「業として行うもの」ということはできないしたものも過去にはありますが(福岡高判昭和27年12月8日)、最高裁は「必ずしも報酬又は利益を得る意思若しくは現にこれを得た事実を必要としない」としています。(最決昭和28年2月3日、最判昭和29年11月24日)。

最高裁によれば、反復継続の意思がありさえすれば、ビジネスといえないレベルの低利息や無利子での貸付であっても「業として行う」と判断されてしまうおそれがあります。

もっとも、貸金業法がいわゆる闇金などの悪質な業者を取り締まるための法律であることから、少なくとも立件されるかどうかの判断にあたって金利の多い少ないは基本的には重要な要素になると考えられます。

基本的には貸さない方がいい

上記でみたように「業として行う」の判断基準はあいまいで、この問題を真剣に考えだすとお金を貸す側としては不安になります。

なんとでも適用できそうな現在の法律からすると、基本的には貸さない方がいいということになります。

基本的に貸さない

そもそもお金を貸さないというのが、最善のリスク回避策です。

ある意味貸金業法はお金を貸すのを断るいい口実になるかもしれません。

反復継続しない、利息制限法の規制を守る

何度も繰り返し貸したり、多数人に貸すのは反復継続性を肯定されるおそれが高いので避けます。

上記の最高裁判決等によれば、利息をとっているかどうかは関係ないようにも思えますが、実際に立件されているのは、高利貸での闇金業者が多いです。

そのため、利息を取る場合は利息制限法の規制を守ることも重要です。よりリスクを減らすには無利息とすることも検討できます。

元本額が10万円未満 年20%
元本額が10万円以上100万円未満 年18%
元本額が100万円以上 年15%

参考資料

貸金業法に関する当局の見解としては、金融庁のノーアクションレター制度に基づく回答も参考になります。

金融庁のサイト

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藤澤昌隆
藤澤昌隆
弁護士・中小企業診断士(リーダーズ法律事務所代表、愛知県弁護士会所属) 基本情報技術者

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