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準委任契約と請負契約の違い、区別の基準

準委任契約、請負契約、違い

ある契約が、準委任契約か請負契約であるかは、しばしば訴訟で争われたり、印紙税との関係で国税局や税務署からの指摘を受けたりして問題になることがあります。

この記事では、準委任契約と請負契約の違いについて弁護士が解説をしています。

準委任契約と請負契約の違い、区別する実益

準委任契約と請負契約の違い、両者を区別する実益について解説します。

準委任契約と請負契約の違い

民法上、準委任契約と請負契約では、以下の違いがあります。具体的な内容は契約によって変わります。

準委任契約 請負契約
債務の内容 事務の処理(656、644条) 仕事の完成(632条)事務の処理(656、644条)
成果物の完成責任 負わない 負う
契約不適合責任 負わない 負う(636条)
再委託の可否 委任者の許諾又はやむを得ない事由が必要(644条の2) 原則可
報酬 事務の履行後又は期間の経過後(648条2項)

又は

成果物の引渡し時(648条の2)

目的物の引渡し時(633条)
解除 債務不履行解除 債務不履行解除
任意解除 いつでも解除できる。ただし、以下の場合はやむを得ない事由がない限り損害の賠償が必要(651条)

  1. 相手方に不利な時期に委任を解除したとき。
  2. 委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く。)をも目的とする委任を解除したとき。
仕事の完成前は損害を賠償していつでも解除できる(641条)

 

解除の効果 将来効(652条、620条) 遡及効
契約書への印紙の貼付 不要 必要
主な例 コンサルティング、ソフトウェアの要件定義、医療行為 建造物の建設、製品の製造

( )内は民法

準委任契約と請負契約を区別する実益

準委任契約と請負契約を区別する実益は、契約における合意事項の策定と印紙税の課税の判断にあります。

契約における合意事項の策定

ある契約が準委任契約と解釈される場合、当事者間に合意がない事項については、民法の準委任契約の規定によって規律されます。

契約において、民法と異なる規律をしたい場合は、契約書等で合意しておく必要があります。

そのため、ある契約が準委任契約であるか請負契約であるかを区別することは、契約の合意事項の策定において重要になります。

当事者に合意がない事項については、契約の準委任契約か請負契約かによって適用される民法の規定が異なる

印紙税の課税の判断

準委任契約の場合は、契約書は不課税文書となり印紙の貼付が不要です。逆に請負契約の場合は、契約書は課税文書となり印紙の貼付が必要です。

印紙税の納付漏れにより過怠税等のペナルティを回避するために、ある契約が準委任契約であるか請負契約書であるかを区別することが重要になります。

もっとも、電子契約の場合は印紙税は課税されないので、電子契約を採用することによってこの問題を回避することができます。

  • 準委任契約書は不課税文書
  • 請負契約書は課税文書
  • 電子契約の場合はどちらでも課税されない

準委任契約と請負契約を区別する基準

ある契約が準委任契約か請負契約であるかは、ときに難しい判断が求められます。

基本的な考え方としては、事務処理自体が契約の目的なら準委任契約、仕事の完成自体が契約の目的なら請負契約と考えればよいです。

  • 事務処理自体が契約の目的なら準委任契約
  • 仕事の完成が契約の目的なら請負契約

例えば、準委任契約の典型例である医療行為をする契約では、医療行為の結果として病気が治らなくても治療費の支払は必要です。これは、医療行為という事務処理自体を契約の目的としているからです。

請負契約の典型例である製品を製造する契約では、請負人がどんなに頑張っていても、製品が完成しなければ、報酬の請求権は生じません。これは、製品の完成という仕事の完成自体が契約の目的となっているからです。

準委任契約か請負契約か争われた裁判例

準委任契約か請負契約かが裁判例で争われた事例を紹介します。

準委任契約とされた事例

芸能プロダクションと舞台制作会社との間の舞台出演契約

東京地判平成28年1月25日、判タ1427号205頁

「主演女優の所属事務所にとって、本件契約は、主演女優を稽古に参加させ舞台公演に出演させなければならない点において請負契約の側面を有するが、ただ単に決められた舞台公演に出演させればよいというものではなく、制作会社がその主演女優に主役を委託した目的である興行収入の最大化等のために、その主演女優の顧客吸引力をもって集客させるとともに、その主演女優の演技力によって観客を魅了しなければならないことからすれば、仕事の完成(民法632条)と捉えることのできない側面があり、準委任契約の性質をも有するものと解するのが相当である。」

請負契約とされた事例

住宅の設計契約

東京高判平成21年4月23日

一般に建築設計契約は、設計図書の作成及び引渡しを目的とする請負契約と解されるとした。

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藤澤昌隆
藤澤昌隆
弁護士・中小企業診断士(リーダーズ法律事務所代表、愛知県弁護士会所属) 基本情報技術者

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