ひな形

ウェブサイト保守委託契約書のひな形と解説

ウェブサイト保守委託契約書のひな形と解説

この記事では、ウェブサイト保守委託契約書について、ウェブ制作会社の視点で弁護士が解説をしています。

また、ひな形を無料公開しています。

ウェブサイト保守委託契約書とは

多くのウェブ制作会社では、ウェブサイトの制作を完成させた後に、引き続きクライアントとウェブサイトの保守契約を締結し、ウェブサイトの保守を担当します。

この際に締結する契約書がウェブサイト保守委託契約書です。

ウェブサイトの保守業務の内容

ウェブサイトの保守業務は多岐にわたりますが、以下に一例を示します。

ウェブサイト保守業務の例

  • ドメイン、サーバーの管理
  • バックアップ
  • 暗号化、セキュリティ
  • ウェブサイトの更新(テキスト変更、画像挿入、レイアウト変更等)
  • ウェブサイトに関するお問い合わせ対応(CMSの使い方等)
  • アクセス解析の分析、レポート作成
  • ブラウザのアップデート対応
  • 新規バナー、画像等のウェブサイト素材等の制作、アップロード
  • 障害対応、他

ウェブ制作会社が、リスティング広告等の代行や、SEOの施策を実施することもあります。

その場合は保守契約とは別途、SEO業務委託契約やリスティング広告運用代理業務委託契約を締結することになりますが、これらもひとくくりで保守といわれることがあります。

ウェブサイト保守業務委託契約書のチェックポイント

ウェブサイト保守業務委託契約書のチェックポイントについて解説します。

業務範囲と対応料金を明確にする

ウェブサイトの保守業務は多岐にわたります。

保守料金は月額制で定められることが多いですが、料金に含まれる保守業務の範囲が明確でないとクライアントとトラブルになるおそれがあったり、業務範囲外の業務を無償で要求されたり追加料金を請求しにくくなるおそれがあります。

サービス設計としては松・竹・梅のように複数のプランを作って、各プランごとの業務を明確にしておくのがおすすめです。

コーポレートサイトの保守プランの一例

梅プラン 竹プラン 松プラン
ドメイン管理
サーバー管理
データバックアップ
メールアドレス △ユーザーまで □ユーザーまで 制限なし
テキスト・画像更新
バナー・素材作成 × 月△件まで 月□件まで
アクセス解析レポート作成 ×
ページ追加(追加デザインなし) × ×
作業限度時間 月△時間 月□時間 月×時間
料金 △円 □円 ×円

ドメインやレンタルサーバーの契約名義はクライアントにしておく

管理のしやすさの便宜や乗り換えの抑止を意図してドメインやレンタルサーバーの契約をウェブ制作会社名義で行っているケースもみかけますが、これは基本的にはおすすめできません。

ドメイン・サーバーを制作会社名義で契約すべきでない理由

  • 解約の際にドメインの名義変更・移管、サーバーの設定が必要になる
  • 保守料金が支払われない場合でもドメイン、サーバー利用料の支払いが必要になる
  • 自社の評判が悪くなる

解約の際にドメインの名義変更・移管やサーバーの設定が必要になる

ドメインを自社で契約すると、解約の際にドメインの名義変更や移管、それらに伴うサーバーの設定などの業務が発生します。使用しているドメインをメールアドレスに使用しているときにはメールの設定が必要になることもあるでしょう。

これらの作業にはクライアント側の協力が必要になることがありますが、クライアント側の対応力が十分でなかったり、解約時点ではクライアントとの関係が悪くなっているケースもあり、作業にあたって物理的・心理的負担が大きくなることがあります。

解約後、ドメインの名義変更前にクライアントと連絡がつかなくなったような場合などでは、ドメインの有効期限の更新を止めてしまってよいかも悩みどころになります。

なるべくなら解約の際の負担は減らしておくべきです。

保守料金が支払われない場合でもドメイン、サーバー利用料の支払いが必要になる

ドメインやサーバーを自社で契約している場合、保守料金の不払いがあった場合でも、ドメインやサーバー利用料の請求は自社にくることになり支払を免れることはできません。

かといってドメインやサーバーを解約して支払いを止めてしまうと、ドメインの権利を失ったり、ウェブサイトが表示されなくなったりメールが使えなくなるなど、クライアントの損失が大きくなります。

そのため、保守料金の不払いを理由にただちにドメインやサーバーの支払いを止めたり、それらの契約を解約してしまうのは、契約上問題ないようにしておいても現実問題なかなか実行はちゅうちょされます。クライアントが不払いについてウェブ制作会社の債務不履行などを主張しており、裁判になった場合にウェブ制作会社側の不備が認められるおそれがあるケースなどはなおさらです。

ドメインやサーバー利用料自体は通常それほど大きな負担にならないとはいえ、余計な悩みや支出を増やさないようにするためにも、契約名義はクライアントにしておくのが望ましいです。

自社の評判が悪くなる

ドメインの契約名義をウェブ制作会社名義にしておくことには上記のデメリットがありますが、それと裏返しで、クライアントからしても解約時にドメインを自己管理や乗り換え後のウェブ制作会社管理に切り替えできなくなるリスクがあります。

クライアント側のウェブ制作会社に対するスイッチングコストが高まり、解約されづらくなるともいえるのでこれはウェブ制作会社側にはメリットということができます。

この点を悪用して、一部ではありますが、保守料を別途請求しているのにドメインやサーバー費用実費として実際にかかった費用よりも高額な料金を請求したり、保守契約を解約してもドメインは渡さない、高額なドメイン譲渡費用を求めるといった悪質なウェブ制作会社があります。

ドメイン名義をウェブ制作会社側にしておくのは、目的がクライアントの便宜であったとしても、このような一部の悪質会社と誤解されるリスクがあるので避けた方が無難です。

筆者もクライアント側でウェブサイト制作に関する相談を受ける場合は、ドメインは会社にとって重要な資産なので、ドメインに関する権利関係はクライアント側で保有するようにし、特別な理由がない限り、ドメインの権利関係を譲らない制作会社との契約は避けるようアドバイスしています。

著作権の帰属を明確にしておく

保守業務の範囲で、新規の画像やイラスト等を制作することがあります。

その場合に発生した制作物の著作権の帰属について契約書で明確になっているかチェックする必要があります。

ウェブサイト保守業務委託契約書のひな形(無料)

ウェブサイト保守委託契約書のひな形を掲載しています。

  • 契約の具体的な内容に応じて適切な契約書が必要です。ひな形は参考程度にご利用ください。
  • 赤字部分は解説です。使用する際は削除してください。
  • ご使用は自己責任でお願いします。

ウェブサイト保守委託契約書

 _________(以下「委託者」という。)と_________(以下「受託者」という。)とは、委託者が受託者にウェブサイトの保守に関する業務を委託するにあたって、以下のとおりウェブサイト保守委託契約(以下「本契約」という。)を締結する。

第1条(業務の委託)
委託者は、この契約に定める条件でのウェブサイトの保守に関する業務(以下「本業務」という。)を受託者に委託し、受託者はこれを受託する。

第2条(本業務の内容)
本業務の対象となるウェブサイト(以下「本ウェブサイト」という。)、本業務の内容及び委託料は別紙保守サービス明細記載のとおりとする。

【対象となるウェブサイトのアドレス(またはドメイン)、サービス内容や委託料については別紙で詳細を定めるのがお勧めです。】

第3条(受託者の協力義務)
委託者は、受託者に対し、本業務の遂行にあたり必要なテキスト、写真等のデータを都度合意された期限までに提供しなければならない。
2.前項のデータに不備があった場合、委託者は、受託者の求めに応じ、速やかに修正等をしなければならない。
3.委託者は、委託料とは別に本業務の遂行に必要なドメイン、サーバー等の料金を、各契約会社に直接支払わなければならない。

第4条(ID及びパスワードの管理)
委託者は、受託者に対し、本業務の遂行のために必要な本ウェブサイト、契約サーバー、契約ドメインの管理画面(以下「各管理画面」という。)へのログインを許可し、ログインのために必要なID及びパスワードを受託者に通知する。
2.委託者及び受託者は前項のID及びパスワードを厳重に管理しなければならない。
3.本契約終了後も、受託者は、本契約の処理に必要な限度で各管理画面にログインすることができる。ただし、委託者から書面によりログインを禁止する旨の通知を受けた場合はこの限りでない。

【ドメインやサーバーをクライアントに直接サーバー会社等と契約してもらう場合には、ログイン情報を取得する必要があります。クライアントの許可なくIDやパスワードを使ってログインをしてしまうと不正アクセスとなる場合があるので注意が必要です。】

第5条(支払方法)
委託者は、別紙保守サービス明細表記載の委託料を毎月末日締め翌月末日限り受託者の指定する銀行口座に振り込む方法により支払う。ただし、振込手数料は委託者の負担とする。

第6条(納入及び検収)
受託者は、本業務のうち成果物が発生する業務については、都度合意された納期及び納入方法により成果物を納入する。
2.委託者は、成果物の納入後5営業日以内に、その内容を検収の上、その結果を通知する。
3.前項の期間内に委託者から受託者に対し不合格の通知がなされなかったときは、同期間の満了をもって検収に合格し、検収完了したものとみなす。

第7条(契約不適合責任)
納入された成果物に種類、品質に関して本契約の内容に適合しない状態(以下「契約不適合」という。)が発見され、委託者から受託者に対してその旨通知された場合、受託者は、当該契約不適合について、受託者の負担により修補するものとする。
2.受託者は、前項の修補が困難な場合または過分の費用を要する場合は、修補に代えて代金の減額により追完することができるものとする。
3.委託者は、受託者から納入された成果物に契約不適合があったことにより直接発生した損害の賠償を請求することができる。ただし、賠償額は本契約の1年間分の委託料を上限とする。
4.受託者は検収完了後3か月以内に委託者から受託者に請求があった場合に限り、本条の契約不適合責任を負う。

第8条(再委託)
受託者は本業務の全部または一部を、第三者に再委託することができる。

第9条(権利義務の譲渡等の禁止)
委託者及び受託者は、あらかじめ書面により相手方の承諾を得なければ、本契約上の権利義務ならびに本契約上の地位を、第三者に譲渡、移転その他の方法により処分してはならない。

第10条(著作権等の帰属)
本契約に基づき受託者が制作した成果物に関する著作権(著作権法第27条及び第28条所定の権利を含む。)を含む一切の知的財産権(以下「著作権等」という。)は、受託者に帰属する。ただし、第三者から提供されたデータ等に関する著作権等は、別段の合意がない限り当該第三者に帰属する。
2.受託者は、委託者が成果物をインターネット上に公開する目的で使用することを許諾する。
3.受託者は、委託者が成果物をインターネット上に公開する目的またはコンテンツの維持の目的で改変することを許諾する。
4.委託者が成果物を第2項または第3項の目的以外で使用または改変する場合には受託者の許可を得なければならない。
5.委託者は、受託者の書面による同意なしに成果物の使用権、改変権を第三者に譲渡、移転、またはその他の処分を行うことはできない。

第11条(秘密保持)
委託者及び受託者は、相手方の承諾なくして、本契約に関連して相手方から秘密である旨を明示して開示された営業上または技術上の秘密情報(以下「秘密情報」といい、秘密情報を受領する側を「受領当事者」という。)を第三者に対して開示、漏えいしてはならない。ただし、以下のいずれかに該当する情報は秘密情報には含まれない。
(1)開示された時点において、すでに公知であった情報
(2)開示された後に受領当事者の責任によらないで公知になった情報
(3)開示された時点において、受領当事者が既に了知していた情報
(4)正当な権限を有する第三者から、受領当事者が秘密保持義務を負うことなく適法に取得した情報

第12条(禁止事項)
委託者は、本ウェブサイトの公開にあたって次の各号に該当する行為をしてはならない。
(1)第三者の著作権等を侵害し、または侵害するおそれのある行為
(2)第三者の名誉、信用を毀損し、または毀損するおそれのある行為
(3)第三者の財産権を侵害し、または侵害するおそれのある行為
(4)第三者のプライバシー権を侵害し、または侵害するおそれのある行為
(5)公序良俗に反する内容の情報、文書及び図画等を公開する行為
(6)法令に違反する行為、または違反するおそれのある行為
(7)その他受託者が不適切と判断する行為

第13条(中途解約)
有効期間の定めにかかわらず、委託者および受託者は、解約月の前月末日までに本契約を解約する旨の通知をすることにより、本契約を中途解約することができる。

第14条(解除)
委託者及び受託者は、相手方が本契約に違反したときは、相当の期間を定めた催告をし、催告期間が終了しても違反が是正されない場合、本契約を解除できるものとする。
2.委託者及び受託者は、相手方に次の各号いずれかに該当する事由が生じたときは、何らの催告を要することなく、直ちに本契約を解除することができる。
(1)本契約の違反が重大なとき
(2)破産手続開始、民事再生手続開始、会社更生手続開始の申立てがあったとき
(3)差押え、仮差押え等の強制執行、または公租公課の滞納処分を受けたとき
(4)支払停止、または支払い不能に陥ったとき、若しくは手形が不渡となったとき
3.前二項の定めにより本契約が解除された場合でも、解除権を行使した当事者は損害賠償の請求を妨げられない。

第15条(反社会的勢力の排除)
委託者及び受託者は、現在、暴力団、暴力団員、暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋、社会運動等標榜ゴロ、その他これに準ずる者(以下「反社会的勢力」という。)のいずれにも該当しないことを表明し、かつ将来にわたっても該当しないことを確約する。
2.委託者及び受託者は、相手方が次の各号のいずれかに該当する場合、ただちに本契約を解除することができ、解除により相手方に損害が生じてもこれを賠償することを要しない。
(1)相手方または相手方の役員が反社会的勢力に該当すると認められるとき
(2)相手方の経営に反社会的勢力が実質的に関与していると認められるとき
(3)相手方が反社会的勢力を利用していると認められるとき
(4)相手方が反社会的勢力に対して資金等を提供し、または便宜を供与するなどの関与をしていると認められるとき
(5)相手方または相手方の役員もしくは相手方の経営に実質的に関与している者が反社会的勢力と社会的に非難されるべき関係を有しているとき
(6)自らまたは第三者を利用して、暴力的な要求行為、法的な責任を超えた不当な要求行為、脅迫的な言動、暴力及び風説の流布・偽計・威力を用いた信用毀損・業務妨害その他これらに準ずる行為に及んだとき
3.委託者及び受託者は、自己が前項各号に該当したため相手方が本契約を解除した場合、相手方に生じた損害を賠償しなければならない。

第16条(損害賠償)
委託者及び受託者は、相手方が本契約に違反し、委託者または受託者が損害を被った場合は、本契約の1年間分の委託料の範囲内で相手方に対し当該損害について賠償を請求することができる。

第17条(非保証及び免責)
次の各号について、受託者は何らの保証をせず、責任を負わない。
(1)本ウェブサイトに掲載された委託者が提供したテキスト、画像等及び委託者の商品・サービス等(以下「掲載情報」という。)の適法性、掲載情報の正確性、ならびに掲載情報の社会的な反響及び各広告媒体等の掲載ポリシー適合性
(2)本ウェブサイトへのアクセス数の増減、検索順位の上下、お問い合わせ等の発生
(3)サーバーのメンテナンス、障害発生その他受託者の責めに帰すべき事由によらずに本ウェブサイトの閲覧ができない状態になること
(4)受託者の責めに帰すべき事由によらないデータ等の破損、消失

第18条(有効期間)
本契約は、本契約締結日から1年間有効とし、その後は、期間満了1ヶ月前までに、委託者または受託者から相手方に更新しない旨の通知がない限り、1年ごとの期間について同一内容で自動更新される。
2.第10条(著作権等の帰属)、第11条(秘密保持)、第16条(損害賠償)及び第19条(専属的合意管轄)の規定は、本契約終了後も有効に存続する。

第19条(専属的合意管轄)
本契約に関する訴訟については、○○地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

第20条(協議事項)
本契約に定めのない事項及び本契約の解釈について疑義を生じたときは、当事者間で誠実に協議のうえ解決する。

本契約の締結を証するため、本書を2通作成し、委託者受託者記名押印の上、それぞれ1通を保有する。

20  年  月  日

(委託者)

(受託者)

 

ABOUT ME
藤澤昌隆
藤澤昌隆
弁護士・中小企業診断士(リーダーズ法律事務所代表、愛知県弁護士会所属) 基本情報技術者

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)